B3 能面

 

 

    発言番号:752

    発言者  :青野 淳美

    題名    :「能.狂言の音楽概論」を受講して

    登録日時:99/08/24 01:18

 

 昨年の暮れ 古希の記念に、ベートーヴェンの「第九」を東京オペラシティコサートホールで謡った感激が起点となって、それでは日本古典芸能の「お謡い」をやろうではないかと、今年の2月 DOCOKAI会員の羽鳥さんのご推薦を戴き三菱化学のOBを含む謡曲会「光華会」に入会し、現在週1回先輩の指導で練習に励んでいます。そのような訳で「能」について少しは興味を持つようになったところ、時宜を得て、「能.狂言の音楽入門」三浦裕子著(音楽の友社)を教材とする頭書「能.狂言の音楽概論」が放送大学夏期集中面接授業として先日17日から20日まで開講されましたので受講してまいりました。先般望月さんの素晴らしい能面を写真館で拝見したばかりですが、それに関連しまして ご参考までに講義の概要と感想をご披露申し上げます。

 なお上記「光華会」は、50年の歴史を持つ三菱観世流合同謡曲会「菱水会」の会員であり、「菱水会」並びに「光華会」の主席指導は、先般東京芸術大学を退官された藤波重満先生でありますことを付け加えさせて頂きます。

 「能.狂言の音楽概論」講師:三浦裕子女史、東京芸大 大学院音楽研究科修士課程終了 武蔵野女子大学能楽資料センター助手青山学院女子短大、群馬大学、放送大学各非常勤講師

講義内容:

1,導入ー能.狂言の演劇性及び音楽性

          .狂言の上演形態  能の面

2,能の謡

3,能の囃子

4,狂言の音楽

5,音楽における能の他ジャンルへの影響  歌舞伎、オペラ等

6,まとめ

 

「能.狂言の音楽概論」を受講して

 上記の通り 能に関わりを持ったのはつい半年前であり、勿論このような学問的にも纏まった講義を受けるのは始めてでありましたが、能楽全般を網羅した教材の中から特に能の謡を中心とした懇切丁寧な中味の濃い授業でありました。且つその合間合間に、代表的能舞台のビデオ(観世元正の高砂、梅若六郎の羽衣、粟谷菊生、宝生閑の安宅と市川団十郎の歌舞伎 勧進帳等)や能面(自作 増、小面)能管、小鼓などを目にし手にとることが出来まして、改めて能への趣向を一段と高めました。

  50数名の会員の中で年齢的には上位にランクされますが、入会年次とその経験において最も若いこともあって、これまで やや遠慮がちでありましたが、これで少しは自信がつきました。難渋の謡本の中味も なんとなく理解でき且つ謡えそうな気がしてくるのが不思議です。練習への意欲がもりもりと湧いてきます。

 実弟から譲ってもらった観世流元正、元昭名吟集(ステレオ)のテープへの吹き込みや、これまでしり込みしていた能舞台の鑑賞など、能動的な学習が増えてくるだろうと思いますが 苦になりません。

  能に対する新たな認識がプラスされ、大袈裟ながら 私にとって本講義は、能芸域接近の出発点となりました。

 

 

  発言番号:778

  発言者 :望月 昭一郎

  題名  :能の概説

  登録日時:99/09/19 22:42

 

*能舞台の写真はさきに説明したとうり。舞台平面図は 舞台の名称、それぞれの役まわり舞台の位置、配置をしめす。

 

      現在の舞台

  

 

*能楽5流

 観世(大和猿楽の結城座)

 宝生(大和猿楽の外山座)

 金春(こんぱる)(大和猿楽の円満座)

 金剛(大和猿楽の坂戸座)

 喜多(徳川秀忠に認められた北七大夫により創設)

 

*謡曲

 謡い本は能の台本。文語体、古文、候文でかかれ仏教に関する難解な言葉も多く、その上演者が面を付けているので言葉が聞き取りにくい一面もある。

 しかしその文章には多くの和歌や漢詩が引用されており、すばらしい表現で心理描写が描かれている。

 

*謡いの効用=謡曲15徳(細川幽斎)

イ)行かずして名所を知り

ロ〕旅にありては知音をしる。

ハ)馴れずして武芸に近づき

ニ)戦わずして戦場を知る。

ホ)習わずして歌道を知り

ヘ)詠まずして花月を望む

ト)祈らずして神徳を得

チ)触れずして仏道を知る

リ)友なくして閑居を慰め

ヌ)恋せずして美人を思う。

ル)老いずして故事を知り

ヲ)薬なくして鬱気を散ず。

ワ)思わずして座上に登り

カ)望まずして高位に交わり

ヨ)巌ならずして行儀を嗜む 

  

 能舞台と能舞台平面図:舞台の正面は鏡板に松の絵、向かって左側の舞台までの通路を橋掛かりと言います。

 

舞台平面図:太鼓、太鼓、小鼓(小包)笛。

座る位置 :シテ、ワキ座

 

 

  発言番号:775

  発言者 :望月 昭一郎

  題名  :能面の紹介と能へのご招待

  登録日時:99/0919 17:26

 

能面の紹介と能へのご招待

 

能(道成寺)

 いわゆる「安珍清姫」の伝説を取り上げながら、其れを直接的に扱わず、後日談の形で劇化し男に捨てられた女の激しい、恋の恨み、死後にまで残る執念の恐ろしさを主題にした作品です。

解説

 紀州道成寺には、釣り鐘がなかった。今日が吉日なので鐘楼に鐘を釣り供養する事になりました。其処へこの國に住むという、一人の白拍子が来て、鐘を拝ませてくれと頼む。此処は女人禁制の場所なので一度は断ります。舞を見せてくれるならばと、供養の場所にはいる事を許す。人々が寝入った隙に鐘を落とし、自分はその中に消える。

(中入)物凄い音と地響きに驚き鐘楼に来て鐘の落ちたことを知る。

住職は他の僧侶達に昔荘司の娘が、一人の山伏を恋したが、男は娘を捨ててこの寺に逃げ込み鐘の中に隠れた。その後を追った娘は、蛇体となって日高川を渡りその鐘に巻き付き、中の山伏を焼き殺したという話を物語ります。先の白拍子は昔の女の怨霊であろうと僧侶と共に祈ります。すると鐘は上にあがって中から蛇体の鬼女が姿を現し、僧侶達の必死の祈祷に蛇は自信の吐く炎に三を焼き日高川の深淵に姿を沈めます。

*道成寺に使用する能面の種類

  写真館の写真&映像の説

イ)若女(わかおんな)

   小面の可憐さと、増女(増女)の品位と理知の中間を狙った女面。併せて色気も持ち合わせている。

  

 

ロ)般若(はんにゃ)

   怨霊の女面で前額部に角が生え眼を見張り、口は裂け見るからに恐ろしい。般若とは梵語で「心理を見ることの出来る知恵」を意味している。

  

 

ハ)真蛇:般若より遙かに強い憤怒により獣じみた凶暴な相となり、角は直線的鋭く眼は真ん丸に見開き、大きく開いた顎と牙は「蛇」と呼ぶに相応しい獰猛さを備えている。

*道成寺の能舞台の場面

  Fig−1)鐘拝ましてくれと頼む。

  Fig−2)白拍子は舞を舞うことで許される。

  Fig−3)白拍子は鐘の中に消える。

  Fig−4)僧侶の祈りと共に鐘が上がって蛇体の鬼女が姿を現す。

  Fig−5)蛇体の鬼女の姿。

  Fig−6)僧侶達の必死の祈祷。

 

 

  発言番号:776

  発言者 :望月 昭一郎

  題名  :能面の紹介と能へのご招待−羽衣へのご招待

  登録日時:99/0919 17:26

 

能:羽衣(写真がカラ−でないのが残念)

 

場面一舞台

1)「家の宝となさばや」と思う。

2)羽衣なくては天に帰れない。

3)天人に舞楽を見せたほしい。と漁夫(白龍)の頼みを喜んで受け入れ天人は衣を着し、三保の松原の春景色を讃え霞に紛れ天空に昇って行く。いわゆる駿河舞と言われ有名な舞。

 

能に使用する能面の種類

 先に述べたようにシテ面には小面、増女、若女の何れかの面をしようする。

 シテの天人(てんにん)はこれから示す3面の何れかの面をしようする。シテの天人は小面、若女〔若女〕、増女〔ぞうおんな〕の3面の何れかを使用する。

 

能:羽衣の解説

 能の中でこれ程一般的に知られている曲はありません。「羽衣伝説」、「白鳥伝説」としてヨ−ロッパ各地に流布されている。しかし、それらは皆漁夫(又は農夫)が羽衣を返さないので、天人はやもを得ず男の妻となり、子供もできたのち隙を狙って羽衣を取り返し昇天する事になっている。ところで能では、漁夫が天人を哀れんで自ら返し与えるように純化されている。あらすじは皆さんよくご承知のことなので省略いたし能舞台の一場面を紹介したい。

 

 

  発言番号:777

  発言者 :望月 昭一郎

  題名  :能、葵の上へご招待

  登録日時:99/09/19 22:17

 

能:葵の上

 光源氏の正妻葵の上は、物の怪に取り憑かれ病に伏す。巫女(みこ)に占わせると、物の怪の正体は加茂の祭りで恥辱を受けた六条御息所(ろくじょうみやすどころ)の生霊(前シテ)であった。御息所(みやすどころ)は後妻打ちにでて葵の上に襲いかかり、葵の上を幽界に連れ去ろうとする。葵の上の容体がいよいよ思わしく無いので、横川(よかわ)の小聖(こひじり)に祈祷を依頼する。小聖が祈っていると、悪鬼と化した御息所の生霊(後シテ)が現れ、抵抗するが、ついに祈り伏せられ成仏する。注)後妻打ち(うわなりうち):前妻が家人などを連れて後妻の家に行き乱暴するという習俗であったらしい。

 

葵の上で使用する能面の種類。

イ)泥眼(でいがん)女性の生霊を現し眼に金ぷんを塗布し、この金泥は怨霊の凄さを強 調、御息所は後妻打ちにでて、葵の上に襲いかかり、葵の上を霊界に連れ去ろうとした。

ロ)般若(はんにゃ):御息所の生霊は悪鬼となって現れ抵抗するが祈り伏せられて遂に 成仏する。

 

*葵の上の能舞台の一場面の紹介

 Fig1:葵の上に襲いかかり、葵の上を霊界に連れ去ろうとしているところの舞。

 Fig2:悪鬼と化した御息所の生霊を祈り伏せようとするところ。

 Fig3:祈祷の前に祈り伏せられ−−−−やがて成仏する。

  

       姥(うば)

  

         能面を製作している望月 昭一郎さん